利用者との会話にもテクニックが必要

利用者との関係をつくるためには、コミュニケーションをとることが重要です。介護職の中には、認知症ケアにおいて、利用者のことがわからず、何を話したらいいのかわからずに困惑してしまうという人もいます。また、実際に会話してみても、話がかみ合わずに対応に困ることもあります。まず、何を話せばいいのかわからない時には、事前に利用者の性格や好きな話題、関心のあることなどを、他の介護職員から教えてもらうのも一つの方法です。また、自分自身でもカルテや個人ファイルなどに目を通して、家族構成や出身地、生活歴や職歴、趣味や特技などもキーワードとしてメモしておくと役立ちます。

しかし、職業や家族構成といった個人情報は、利用者が何でそんなことまで知っているのかと不信感を抱くことにもつながるため、ケアに活かす際には細心の注意が必要です。そこで、会話で話題にしたい場合には、どのように情報を得たのか、きちんと前置きすることが大事になります。しかし、それよりも自然な形にするならば、利用者本人に質問して、答えてもらうという形がいいでしょう。ただし、認知症の場合、本人が覚えていない、認識間違いをしていることもあるので、自分が得た情報と一致しないからといって、その答え合わせをしようとしたりしないことが大切です。利用者が伝えようとしていることに、しっかりと耳を傾けることで関係性を築くことができます。また、質問攻めにすると、まるで取り調べのように感じてしまうこともあるので、合間に自分自身のことも適度に話ながら会話していくテクニックも必要になります。